ヒンディー語の単語の覚え方のコツ

言語学習において暗記は欠かせないものです。単語を覚えれば覚えるだけ表現力が増しますので、少し覚悟して覚えていただければと思います。しかし単語の暗記にもコツがありますので、この記事を読んで効率的に学習をしていただきたいです。

同じ単語に出会う回数を増やして記憶に定着させる

ヒンディー語に限った話ではありませんが、単語を一度聞いただけで覚えられることはほとんどありません。エビングハウスの忘却曲線で示されているように、一度覚えた単語は時間の経過とともに頭から抜けていってしまいます。

そのため、何度も復習を行うことが大切です。復習回数が増えるにつれだんだんと忘れるスピードも遅くなり、記憶に定着していきます。一度で覚えようとするのではなく、回数と時間をかけて覚えるものだと考えておくと落ち込みません。忘れるのは普通のことなので、淡々と学習を継続することが大切です。

私は暗記カードアプリを利用して、復習を行っています。Ankiというアプリを使うと、忘却曲線の理論をベースに、1日、3日、7日、2週間、1か月後...など最適なタイミングで復習ができるので重宝しています。

アウトプット中心の学習を行う

アウトプット中心の学習のほうが、インプット中心の学習よりも定着率が良いという実験結果があるそうです。インプットとは、単語を眺めたり、見ながら書く、等の学習方法です。それに対して、アウトプットはテスト形式で単語や単語の意味を「思い出す」学習です。アウトプットは頭の中にある情報を使おうとする行為であるため、その情報が重要であると脳に思い込ませることができます。

単語を覚える際は、何度も紙に書くよりも小テストなどを行ってアウトプットすることが大切です。この点からも暗記カードはおすすめです。

ヒンディーソングを活用する

メロディーと一緒に覚えることで、さらに記憶を強固にすることができます。日本語や英語の歌で経験がある方もいらっしゃると思いますが、一度覚えた曲は何年たっても歌詞が自然と口をついて出てくるようになります。

映像やシチュエーションと共に覚えるため、単語の意味をより正確に掴むことができるというメリットもあります。

また、歌詞全体で単語を覚えることになるため、自然と文法性まで覚えられます。例えば、「Mere Khwabon Mein」という曲では、Khwab(夢)という単語をフレーズで覚えることができます。Khwabが男性名詞か女性名詞か分からなくなったとしても、このフレーズを歌えば男性名詞であることがすぐにわかります。Mereは後ろが男性名詞のときの語尾変化であるためです。

さらに、後ろに後置詞MeinがあることでKhwabは後置格形(複数)Khwabonに変化しています。後置格形がすぐに口からでるようになるには練習が必要ですが、このフレーズで一緒に覚えられるのでお得です。

なにより、ボリウッドソングはメロディがキャッチーで耳に残りやすく、歌詞は詩的で美しいものが多いです。楽しみながら語彙を増やしていくことができるはずです。

基礎単語は英語と似ているものも多い

ヒンディー語はインド・ヨーロッパ語族の言語です。つまり、ヒンディー語と英語、ドイツ語などのヨーロッパ言語は親戚関係にあるということを意味します。長い期間別々に発展してきたためまったく関係のない言語に見えますが、基礎語彙に類似性を見て取ることができます。

英語ドイツ語スペイン語ヒンディー語
fathervaterpadrepitaa
mathermuttermadremaataa
nosenasenariznaak
handhandmanohaath
toothzahndientedaant
oneeinunoek

これらの基礎語彙はヒンディー語学習においてまず初めに覚えることになる重要な単語です。英語と似ているという知識があるだけでも、覚えるのが楽になるはずですので、頭の片隅に置いておいてください。

ちなみに、ヒンディー語のPは英語のF、TはDになることが多いです。

ヒンディー語の単語を覚えるときの注意点

名詞は文法性まで覚える

ヒンディー語の名詞は男性名詞、女性名詞に分けられます。名詞を文章の中で正しく使用するには、文法性を覚えなければなりません。文法性によって形容詞や動詞の形が変わるためです。

後から文法性を覚えるのは二度手間ですので、新しい単語に出会ったらその都度文法性を確認し、一緒に覚えるようにしてください。

無気音、有気音を区別して覚える

日本語は無気音、有気音を区別しませんが、ヒンディー語では区別します。例えば、無気音の pal と有気音の phal は別々の単語で、それぞれ「一瞬」、「果物」という意味を持ちます。別々の音、単語として、発音し分けることが大切です。

カタカナでは無気音、有気音の違いを表すことはできないため、上記の例はどちらも「パル」となってしまいます。デーヴァナーガリー文字の綴りと一緒に覚えましょう。

サンスクリット語由来、アラビア語・ペルシャ語由来の単語をセットで覚える

ヒンディー語の語彙は、サンスクリット語由来の単語とアラビア語・ペルシャ語由来の単語がセットになっていることが多いです。英単語もよく使われるので、実際には3つの単語で1セットとも言えます。

サンスクリット語由来 アラビア語・ペルシャ語由来意味
मित्र [男]दोस्त [男・女]友人
समय [男]वक़्त [男]時間
प्रयोग [男]इस्तेमाल [男] 使用
मृत्यु [女]मौत [女]
सपना [男]ख़्वाब [男]
विवाह [男]शादी [女]結婚

サンスクリット語由来→アラビア語・ペルシャ語由来→英語由来、の順でカジュアルな表現になります。

サンスクリット語由来の単語は公式文書など硬い文章で使用され、アラビア語・ペルシャ語由来の単語は口語やヒンディー語映画でよく使われます。さらにカジュアルな会話や都市部では英単語の割合が増えます。この辺りの感覚は地域差や世代間の差も非常に大きいです。

使われる場面や頻度に差があるにせよ、どちらも生きたヒンディー語です。同じ意味の単語を二つも覚えるなんて損だと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、二つの単語を適切に使い分けることで、ヒンディー語のニュアンスをより正確に理解することができます。

最終的にどちらの単語も覚えるのであればセットで覚えたほうが労力は少なく済みますので、学習の際に意識してみてください。このサイトでも、対になる単語がある場合はご紹介するようにしています。

動詞は自動詞、他動詞、使役動詞をセットで覚える

ヒンディー語の動詞は自動詞、他動詞、使役動詞がセットになっています。自動詞は自己完結する動作、他動詞は目的語を取って他に働きかける動作、使役動詞は間接的に働きかける動作です。

自動詞をベースに、他動詞は自動詞の語幹+[ɑː]使役動詞は自動詞の語幹+[wɑː]という形を取ります。この法則を覚えてしまえば、1つの動詞から3つの動詞が使えるようになり効率よく語彙を増やしていくことができます。

自動詞他動詞使役動詞
उठना 起きるउठाना 起こすउठवाना 起こさせる
बनना できる(作られる)बनाना 作るबनवाना 作らせる
कटना 切れるकाटना 切るकटवाना 切らせる

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