ヒンディー語のजानाとआनाの違い 「今行きます」を正しく言えますか?
誰かに呼ばれて、その相手に「今行くよ」「今行きます」と言いたいとき、何と言うでしょうか。簡単な表現ですが、日本語話者が間違いやすいポイントがあります。
मैं आ रहा हूँ マェン アー ラハー フーン
मैं 私
आ 動詞 आना の語幹
रहा हूँ 主語 मैं(男性)に対する進行形。主語が女性であれば रही हूँ となります。
「今まさに行くところ」というニュアンスを出すために、進行形を取ります。進行形は主語の性別によって रहा、रही と変化します。コピュラ動詞も主語に合わせて活用します。
動詞は आना 「来る」を使います。日本語は「行く」となっていますので、直訳して जाना を使いたくなりますが、ここでは आना を使います。ヒンディー語では、自分の位置だけでなく話し相手の位置を認識する必要があります。そして、相手の位置へ近づいていく動きに対しては आना を使います。
「行く・来る」と「जाना・आना」の違い
日本語の「行く・来る」とヒンディー語「जाना・आना」は一対一で対応しているわけではありません。両者の違いを踏まえて、ヒンディー語を話す際に適切な動詞を使えるようにしておきましょう。
「行く・来る」
日本語の「行く・来る」は話者や動作主を中心に考えます。「行く」は話者・動作主が目的の場所に向かう動き、「来る」は人や物が自分のところへ近づく動きを表します。
「जाना・आना」
ヒンディー語の「जाना・आना」は日本語と視点が異なります。話者ではなく、相手や任意の視点が置かれた場所を中心に考えます。「जाना」は視点が置かれた場所から離れていくイメージ、「आना」は視点が置かれた場所に近づくイメージです。
今回のシチュエーションでは、話し相手が自分を呼んでいることを想定していました。この場合、視点は話し相手のいる場所に置かれ、話し相手のいる場所に自分が近づいていく動作を伝えようとしていますので、適切な動詞は आना となります。
ちなみに、英語ではI’m comingと言うことからも分かるように、英語の「go・come」の考え方はヒンディー語と似ています。日本語と似ていると言われることの多いヒンディー語ですが、こういった英語との共通点を見るとやはりインド・ヨーロッパ語族だなと思わされます。