2つの動詞を【語幹+動詞】という形で組み合わせて、様々なニュアンスを付け加える表現を複合動詞と言います。

語幹A(幹動詞)動詞B(助動詞、軽動詞)
動詞の意味を示すニュアンスを付け加える、時制を示す

ニュアンスを加える複合動詞

前述の通り、複合動詞は【語幹A+動詞B】の形を取ります。動詞Bとなることのできる動詞は限られており、下表に記載した通りです。複合動詞では動詞Bは元の動詞の意味が薄くなりニュアンスを加える働きをします。動作の主な意味を担うのは、語幹Aです。

複合動詞(可能表現を除く)はほとんどが完了動作や命令形で使われ、否定形、接続詞、連続的または推測的な文脈ではあまり使われません。これは、複合動詞が動作の完結を前提としているためです。

複合動詞複合動詞の元の意味(参考)複合動詞のニュアンス備考
自動詞語幹+जाना行く動作や状態の完了、結果に対する驚き、悔恨など自動詞語幹にजानाを置きたい場合、जा जानाとはならず、चला जाना となる
自動詞語幹+देना与える動作・状態の開始・発生、動作の完了、強い気持ち、勢い、不本意相手に対して作用する動詞と一緒に使われる
自動詞語幹+लेना 取る動作の受容、動作の完了、動作の可能性・能力自分に対して作用する動詞と一緒に使われる
自動詞語幹+उठना 起きる動作の突然性、動作の激化
自動詞語幹+चलना 動く動作への移行
自動詞語幹+डालना 注ぐ全体の完了、動作の徹底、不用意な行為
自動詞語幹+पड़ना 落ちる動作の突発性
自動詞語幹+बैठना 座る不本意な事態、動作の激しさ・勢い、行為への到達、思い切った行為
自動詞語幹+रखना置くある目的のための準備

(例)वह आ गई ! 彼女が来た!(驚きや完了を表す)
   मैंने उसको केला दे दिया 私は彼女にバナナをあげました(動作の完了=彼女がバナナを受け取ったことを暗示)
   हमने चाय पी ली 私たちはチャイを飲みました(動作の完了=飲み終わったことを強調)
   मैं हिन्दी पढ़ लेता हूँ 私はヒンディー語を読めます(能力を表す)
   पार्टी के लिए खाना बना रखा है パーティのために料理を作っておいたよ(準備のニュアンス)

可能表現

【語幹+सकना】【語幹+पाना】で「~できる」という可能表現となります。全体として自動詞扱いとなります。सकनाとपानाは下記の通りニュアンスが異なります。一般的な可能表現はसकनाです。पानाを使うと努力や意志のニュアンスが加わります。

語幹+सकना可能(~できる)、許可(~してもよい)
語幹+पाना努力や意志による可能(~できる)

(例)मैं हिन्दी लिख सकता हूँ  私はヒンディー語を書くことができます(能力として可能である)
   मैं उसकी बात नहीं समझ पाया 私は彼の話が理解できなかった(理解するために努力したができなかった)

完遂表現

【語幹+चुकना】で「~してしまった」「~しつくした」という意味を表します。完了表現でしか使われないため、चुकनाの活用はचुका/चुकी/चुके のいずれかとなります。全体として自動詞扱いとなります。

(例)मैं काम कर चुका हूँ 私は仕事をし終えてしまいました。